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中川多理 Tari Nakagawa 【球体関節人形&人形写真】

「物語の中の少女Ⅱ」-カファルドによせて


もう一作制作した「カファルド」は、
マンディアルグの最愛の伴侶でありシュルレアリストでもあるボナの最初にして最後の文学作品です。

画家としての、シュルレアリストとしてのボナ独特の視線に誘導され、時間と空間をダイナミックに移動する、読みながらその浮遊感や疾走感に酩酊する様な感覚に陥り、謎めいた物語に惹き込まれてしまう…短い物語です。

人狼(ルー・ガルー)、夢遊病の少女、メキシコの墓地、満月の海、…シュールレアリスティックで視覚的で魅力的なモチーフがちりばめられていて、いつか人形化してみたいなと思っていた大好きな作品だったので、今回手がけてみました。

ボナの自伝的要素を多分に含んでいるので、主人公は少女というよりは成人女性であると思います。でも、シュルレアリストの女性達は皆、どこかに少女性を強く宿したまま生きている。少女の精神のままに身を投げてしまったウニカ・チュルンや、少女のまま生き永らえ魔女的資質を獲得したキャリントンやバロの様に。時に激情的で不安定なボナの気質は少女そのものであり、全編が少女的気分に満ちています。



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「カファルド」会場風景。
獣らしい躍動感・浮遊感に満ちた原作の雰囲気が出たかな?と。

人狼(ルー・ガルー)と人狼に成りかけている少女をイメージして制作しました。
少女の色味は月光色に。



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長大な移動によってほとんど露わになってしまう裸体に巻き付くシーツを纏わせ、少女の方は小さな牙と耳が生えかけています。
二匹にはアンティークのガラスボタンを片目ずつに分け合い、人でないものに変わりゆく異形の雰囲気を共有させました。


+


図らずも、「海の百合」も月明かりの元での儀式の物語、この「カファルド」も月を意味する人狼譚、もう一作の「死の泉」は塩岩抗の中、懐中電灯の灯りで少女達が発見されるシーンがあり、会場自体を薄暗く月明かりの下の様な照度に設定して頂きました。


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